去年の9月、家族5人で和歌山県に下見に行きました。
ずっと書こうと思っていたのに、なかなか言葉にできなくて、
そのまま時間だけが過ぎていってしまって。
でも今なら、あのとき感じたことを、
少し落ち着いて振り返れる気がしています。
この旅は、「移住を決めるための旅」というより、
現実を知るための旅でした。
行く前に気になっていたこと
今回の下見で知りたかったのは、
「住んだら楽しそうか」ではなくて、
- 子どもが安全に通学できるか
- 学区や学校の雰囲気はどうか
- スーパーや病院はどれくらい近いか
- 子育て世帯はどれくらいいるのか
- 地域との関わりはどれくらいあるのか
といった、生活できるかどうかのリアルが知りたいと思ったことがきっかけでした。
実際に役所の方にも、
こういったポイントを事前に細かく聞いていました。
我が家が下見前に事前に共有していたのは、こんな内容でした↓
1. 自然・環境
- 生き物が豊かで多様な場所(シカ食害が少ない/磯採集ができる/照葉樹林・紅葉・木の実の採集)
- 森の香り、星空、川のある暮らし
- 毎日見たい景色:山・川・海・田んぼ・家庭菜園・果樹
- 星空がよく見える、夜のあかりが少ない地域
- 家の周りが自然に囲まれている場所
- 災害への懸念:南海トラフ、津波、土砂崩れ、河川氾濫、地盤沈下を避けたい
- 気候:暖かい地域が良い/雪は少ない方が良い/火山灰が降らない
2. 暮らし・住まい
- 山や川がある程度近くにある家を希望。
- 一戸建て希望(最初は賃貸である程度便利なエリアに住んで家を探しながら、将来的には1のような自然環境の場所に移住したい)
- 家族それぞれの部屋が欲しい(5人家族)
- 毎朝の景色:木々や鳥、虫の声、窓辺のハーブ
- 理想の音:鳥・虫・川
- 庭:家庭菜園、夜のライトトラップ観察(隣家に迷惑にならない距離感)
- ご近所付き合い:薄め希望(自治会費は払うが祭り・草刈り参加は少なめを希望)
- ご近所・地域:移住者が多く寛容な地域が良い
- 家の香り:森・木・ハーブ・花
- 必要施設:保育園・小学校・スーパー(車10分圏内)
- 買い物:週2〜3回、宅配利用も可
- 交通:車メイン、徒歩圏にスーパーがあると理想
- 空間:各自の書斎・作業部屋(本棚・図鑑・ミシン・ハンドメイド道具など)
3. 生き方・働き方
- 理想の一日:朝散歩・収穫→仕事→昼は人との交流→午後はブログや動画編集→子どもと夕方畑→団欒
- やりたい暮らし:家庭菜園/保存食/自給自足/洋服づくり/プラスチックを減らす暮らし
- 忙しすぎない暮らし=精神的に余裕・丁寧・趣味や家族との時間
- 働く意味:自分だけが提供できることを通じて幸せを作る
- 在宅・情報発信(ブログ・コミュニティ運営)がメイン
- 収入目標:世帯600万円
- 社会とのつながり:音楽・ブログ・コミュニティ
- 副業:ハンドメイド販売、小商い
- 将来の夢:空き家を購入してコミュニティスペース作り/ターシャ・テューダーの家のような暮らし
4. 育児・教育
- 子ども:自然の中でのびのび育ってほしい
- 体験重視の学校(フィールド学習あり、荒れていない)
- 医療・保育施設は車10分圏内
- 子育て支援(ファミサポ、医療助成、学費支援)が充実
- 子どもが退屈しない町=自然が豊かで遊ぶところが多い
- 子育て仲間は必要(少数でも良い)
- 子どもに経験させたい:野菜栽培、森・川・海遊び、サバイバル体験、留学、動植物の飼育
- 将来「移住してよかった」と思えるためには:家族一緒に暮らす、自然と触れ合う暮らし
5. 趣味・暮らしの楽しみ
- 家族の趣味:生き物観察・撮影・写真整理
- 保存食・手仕事(ハンドメイド、草木染め、自然素材の活用)
- 果樹(梅・柿)、植栽(モミジ)、野菜(じゃがいも・トマト・ナス・枝豆など多種)
- 季節の行事を大切にしたい
- 子どもと音楽・歌・楽器・星空観察を楽しみたい
6. 心・感覚
- 癒し:山の上からの景色、縁側、香り、自然
- 必要な時間:ひとり時間(1日9時間以上)、朝の散歩
- 静けさ:夜は静か、昼は賑やか
- 「自分でいられる瞬間」=歌・ピアノ・ものづくり(夫は生き物探し)
- 幸せな未来のイメージ:家族で収穫・料理・音楽・星空
7. 地域・コミュニティ
- コミュニティ:関わりは薄めでOK
- 地域活動(草刈り・消防団・子ども会):参加意欲は低い
- イベント:地域イベントには参加したい(ただし運営は消極的)
- 価値観:似た人が多い方が安心
- 住まい:古民家リノベにも興味あり(予算次第)
- 最終条件:自然が美しく景色が良い/家族みんながやりたいことに打ち込める

めちゃくちゃ細かい!これ全部が叶う地域なんてあるのかな?



私もそう思ったけど、言わないよりは言っといたほうがいいでしょ。



それは確かに、そうかもね。
実際に回ったエリアと全体の流れ


実際に和歌山県では3泊4日で、海南市・紀の川市・和歌山市の3つのエリアを回りました。
1日目は海南市、2日目は紀の川市、3日目は和歌山市という流れで、
それぞれ役所の方に同行していただきながら、現地を案内してもらいました。
海南市では、実際に移住してきた子育て世帯の方ともお話しする機会があり、
「住んでいる人の声」を直接聞けたのは、とても大きかったです。
実際に見て感じた「思っていたのと違うこと」
夫はもともと、自然が多い田舎のエリアを気に入っていて、
今回もそういった場所を中心に見て回りました。
でも、実際に歩いてみて感じたのは、少し違う現実でした。
小学校が統廃合されているエリアも多く、
学区によっては通学に歩くと30〜40分かかる場所もある。
さらに、すべての道に歩道があるわけではなく、
水路がすぐ横にあったり、車通りがあるのに道幅が狭かったり。
子どもがいると、やっぱり一番気になるのは通学です。
これは、実際に赴いてみないとわからないリアルな不安だなと思いました。
もちろん地域によって差はありますが、
「田舎=安全」というイメージだけでは判断できないと感じました。
実際に、自分の子どもがこの道を一人で歩くとしたらどうか。
そう考えたときに、
少し立ち止まって考えたくなる場面もありました。
また、学校自体も、学区によって
- 1学年1クラス(20人前後)
- 上の学年で2クラスになることもある
といった規模感で、
少人数でのびのびできる良さがある一方で、
今後の統廃合の流れも気になるところでした。
それでも感じた安心感
一方で、安心できたこともたくさんありました。
まず何より、空気が穏やかで、景色がきれいで、
時間の流れがゆっくりしていること。
子どもたちは、公園で思いきり走り回っていて、
すごく楽しそうでした。
都会の公園だと、いろいろな遊具の順番待ちがあったり、
狭くて思い切り走り回れなかったり、
車や自転車が気になって親がリラックスできなかったり、
そういう悩みがあります。


でも、和歌山で遊びに行った公園や施設はどこも広く、
混雑して遊べないということも少なそうでした。
海や山もすぐ近くにあって、自然との距離がとても近い。
貸農園のような選択肢もあり、
「こういう暮らし方もできるんだな」と思える余白がありました。
家賃も比較的安く、
生活コストの面でも現実的に考えられる印象でした。
医療・生活インフラの安心感
生活の面で安心できたポイントもありました。
例えば、
- 土日も対応してくれるクリニックがある
- 総合病院が車で30分圏内に複数ある
- スーパーや生活施設がまとまっているエリアもある
特に、海南市の市役所周辺は、
生活に必要なものがコンパクトにまとまっていて、
「ここなら暮らしやすそう」と感じました。
一方で、エリアによっては車がないと生活が難しい場所も多く、
日常の移動は基本的に車前提になる印象でした。
地域との関わりについて感じたこと
もう一つ印象的だったのが、地域との関わり方です。
田舎のエリアでは、
- 消防団など地域活動がある
- 住民同士のつながりが比較的強い
といった特徴がありました。
それ自体は安心感にもつながる一方で、
関わり方によっては負担に感じる人もいると思います。
夫はあまりそういった関係が得意ではないタイプなので、
「実際どのくらい関わる必要があるのか」は気になるポイントでした。
具体的にどの地域でどのくらい関わり合いの密度が濃いのかは、
それぞれの地域で話を聞いてみないとわからないと言われました。



まあ、そうだよね。



むしろ、全部がそうってわけじゃない、という話はちょっと意外だった。
やっぱり、ある程度街に近い場所の方が、
関係性の距離感を自分で選びやすいのかなと感じました。
家族の中で見えてきた違い
今回の旅で一番大きかったのは、
「場所」よりも、家族の考え方の違いが見えたことでした。
夫は自然の多い場所に魅力を感じていて、
私は自然も大事だけど、子育ての現実も外せないと感じていて。
子どもたちは、どこでも楽しそうで、
一番環境に柔軟でした。
だからこそ、
どこに住むかよりも、どう折り合いをつけるか
それが一番大事なんだと気づきました。
今の時点で感じていること
今回見た中で、
一番バランスが良いと感じたのは和歌山市でした。
- 生活インフラがまとまっている
- 学校や通学の現実が比較的イメージしやすい
- それでいて自然も近い
すべてが理想通りというわけではないけれど、
現実的に考えたときに、無理が少ない場所だと感じました。
実際に使った移住支援制度について
今回の滞在では、和歌山市の移住支援制度である
トライアル和歌山市活動費支援金 を利用しました。
この制度では、移住検討のための滞在に対して、
交通費や宿泊費の一部を補助してもらえます。
ただ、実際に使ってみて感じたのは、
思っていたよりもしっかりした手続きが必要ということでした。
- 事前申請が必要(活動開始の10日前まで)
- 交通費の証明や住民票の提出
- 領収書の保管(後日提出)
- 活動後30日以内の報告
など、細かいルールがあります。
気軽に使えるというよりは、
きちんと準備して使う制度という印象でした。
それでも、家族5人での移動となると費用も大きくなるので、
こうした制度があるのはとてもありがたかったです。
実際に泊まった「お試し居住」について


今回の滞在では、和歌山市の「お試し居住」を利用しました。
3泊4日で、家族5人。
正直、最初は「子ども3人連れて本当に泊まれるんだろうか」という不安もありました。
実際に利用した施設は、
一般的なホテルというより、
“実際の暮らしを試すための滞在施設”という雰囲気。
今は使われていない古民家を貸してくれるもので、
部屋によっては仏壇や家具がそのまま置かれていました。
実際に生活感が感じられる場所に泊まったことで、
単なる旅行ではなく、
「ここで生活したらどうなるんだろう」
というのを具体的にイメージできたのが大きかったです。



憧れの古民家暮らし、こんな感じなんだーとわかってよかったわ。
今回の費用は、3泊4日で約54,000円でした。
内訳としては、
- 大人2人
- 子ども3人(子ども料金は実質大人1人分扱い)
という形で計算していただき、
子連れでもかなり利用しやすい印象でした。
実際に泊まってみると、
- スーパーまでの距離
- 車移動の感覚
- 子どもとの生活動線
- 夜の静かさ
- 周辺の空気感
など、
“観光だけではわからない部分”
がかなり見えてきます。
お試しでの滞在を通して、
「その場所で生活する自分たちを想像できるか」
が大事なんだなと感じました。
この旅でわかったこと
初めて現地を見に行ったことで、
田舎のリアルがやっと見えてきました。
そして同時に、
自分がどんな場所を求めているのかも少しわかってきて。
やっぱり私は、
すでに移住してきて、子育てをしている人がいる場所。
そういう「少し先を歩いている人」がいる環境に、
安心感を感じるんだと思います。
「先輩移住者がたくさんいるか」
「その人たちはどんな仕事をして暮らしているか」
そういう情報も今後調べていく中で重要なポイントだなと感じました。
おわりに
この旅は、理想を叶えるための一歩というより、
理想と現実のあいだで、
自分たちがどこに立っているのかを知る時間でした。
まだ答えは出ていないけれど、
あのとき感じたことは、きっとこれからの選択に残っていくと思います。










